首都圏で賃貸住宅を探している方、あるいは不動産投資を検討中の方にとって、最新の賃貸市場動向は欠かせない情報です。今回は、日本情報クリエイト株式会社が発表した2025年2月の「CRIX指標」をもとに、東京23区・神奈川・埼玉・千葉それぞれのエリアでどんな変化が起きているのかを詳しくご紹介します。
CRIX(クリエイト賃貸住宅インデックス)って?
「CRIX」は、日本情報クリエイトが独自に開発した、実際の賃貸管理データから算出された信頼性の高い賃料・空室状況のインデックスです。
- 全国すべての都道府県と主要都市をカバー
- 空室率と平均賃料の2軸での時系列データ提供
- 間取りや床面積別にも細かく分析可能
これにより、リアルタイムで実態に即した賃貸市場の動向を把握できる優れものです。
東京23区:共働き夫婦の需要と物価高騰の狭間で
東京23区では、特に30~50㎡のマンションに共働き夫婦からの需要が集中。しかしながら、供給の少なさと物価上昇による家計圧迫の影響で、実際の支払い賃料は下降傾向にあります。
結果として、
- 高額物件から安価なアパートや郊外物件へのシフト
- アパートでは空室率が改善するも、支払い賃料は低調
供給過多の小型アパートは、家賃を下げることで入居を促している状況です。
神奈川県:川崎市が人気の受け皿に
東京23区での生活を断念したカップルの移住先として、川崎市が好調。30~50㎡のアパート・マンション共に空室率が改善し、賃料も上昇傾向です。
一方で、横浜市では通勤利便性が川崎市に劣るため、空室率上昇&賃料下降という結果に。やはり「職場へのアクセスの良さ」が大きな判断材料になっています。
埼玉県:さいたま市の賃料伸び悩み
さいたま市では、大きめのアパート(50㎡~)の空室率悪化が継続。マンションも賃料が大きく伸びず、物価高に追いつけていません。
さらに、中古マンションの価格が下がっている影響で、購入層と賃貸希望者がぶつかり合い、カップル・ファミリー層向け賃貸住宅は苦戦中です。
千葉県:エリアで明暗が分かれる
千葉県西部では、50㎡以上の物件が新築・中古マンションとの競合で賃料が下落中。一方で、30~50㎡の物件は好調。特に、
- 浦安市
- 市川市
といった東京寄りのエリアでは、通勤利便性を重視する層の支持を集めています。
エリア別の詳細データも公開中
今回の分析では、首都圏4エリア(東京・神奈川・埼玉・千葉)に加え、全国各都市(札幌・仙台・名古屋・大阪・福岡など)の詳細データも公開されています。ご興味のある方は、CRIXの公式サイトやレポートのリンクをご確認ください。
今後の賃貸市場を読み解くカギは「賃料と立地のバランス」
今回のデータから読み取れるのは、やはり「賃料が上がりすぎれば入居者は離れる」という現実。共働き夫婦やカップル層は、利便性も価格も天秤にかけて、柔軟に住まいを選んでいます。
不動産オーナーや賃貸事業者にとっては、立地や物件の強みを活かしながら、価格設定の見直しや設備改善などを通じて、入居者ニーズに応える柔軟な対応が求められそうです。
