首都圏の賃貸市場が大きく動いています。株式会社LIFULL(ライフル)が運営する「LIFULL HOME’S PRESS」によると、2025年1月のマーケットレポートでは、東京23区での賃貸物件の掲載価格が前年同月比で1割以上の上昇を記録しました。一方で、消費者が求める賃料水準はわずかな上昇にとどまり、市場と消費者のニーズに乖離が生じている状況です。
東京23区のシングル・ファミリー向け賃貸が過去最高の価格に
レポートによると、首都圏の賃貸市場では掲載賃料の上昇が続いており、特に東京23区ではシングル向け・ファミリー向けともに過去最高の価格を更新しました。
- シングル向け(ワンルーム~1LDK): 106,174円(前年同月比11.5%アップ)
- ファミリー向け(2LDK以上): 222,603円(前年同月比13.1%アップ)
この結果、特に都心部での賃貸物件の価格上昇が顕著となり、家賃の高騰が続く傾向が見られます。
一方、消費者が求める賃料水準はほぼ横ばい
市場での賃料上昇に対して、消費者が実際に問い合わせた物件(反響物件)の平均賃料は、比較的緩やかな上昇にとどまっています。
- シングル向け: 93,615円(前年同月比4.9%アップ)
- ファミリー向け: 174,216円(前年同月比2.1%アップ)
このデータから分かるように、市場で供給される物件の賃料は急上昇している一方で、消費者が実際に支払える金額には限りがあることが浮き彫りとなっています。特にファミリー向け物件の価格乖離が大きく、住まい探しの難易度が高まっているといえるでしょう。
中古マンション市場も過去最高の価格を記録
同レポートでは、中古マンションの市場も活発化していることが示されています。首都圏の掲載価格は、シングル向け・ファミリー向けともに過去最高を更新し、特に東京23区では以下のような高い上昇率が見られました。
- シングル向け中古マンション: 4,745万円(前年同月比9.7%アップ)
- ファミリー向け中古マンション: 7,643万円(前年同月比24.1%アップ)
賃貸市場と同様に、販売価格の上昇が続いており、特にファミリー向け物件の価格上昇が顕著です。
中古一戸建て市場は価格下落が続く
一方で、中古一戸建ての掲載価格は17ヶ月連続で前年同月を下回っており、マンション市場とは対照的な動きを見せています。これは、戸建て物件の需要が減少していることや、価格が高騰しすぎた影響で買い控えが発生している可能性が考えられます。
賃貸市場の今後は?
東京23区では賃料の高騰が続く一方で、消費者の支払い可能な金額との乖離が広がっています。このまま価格が上昇し続ければ、都心部での住まい探しがさらに難しくなる可能性があります。
また、賃料が高すぎると賃貸物件の空室率が上昇し、今後は家賃調整の動きが出る可能性もあります。特に、新築物件やリノベーション物件の増加により、賃料の価格競争が激しくなることも予想されます。
まとめ
- 東京23区の賃貸物件の掲載価格は前年比1割超の上昇を記録
- 消費者が求める賃料水準との乖離が拡大
- 中古マンション市場も価格上昇が顕著
- 中古一戸建ては価格下落が続く
今後の賃貸市場の動向を注視しながら、住まい探しを進めることが重要です。希望エリアの価格動向をチェックし、予算に合った物件を早めに見つけることが求められます。
詳しいデータは「LIFULL HOME’S」で確認できます。