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埼玉の街レポ JR川口駅周辺

宇宙空間に浮かぶ惑星のような万華鏡 コンテンツ

埼玉の街を散策し、街の魅力やステキなスポットを紹介する本コーナー「埼玉の街レポ」。今回ご紹介するのは、隣に荒川を臨み、近代的な繁華街と古い町工場の香りが同居する活気溢れる街、川口です。

川口と言えば、今でも思いつくのは「鋳物の町」。昭和の時代にはたくさんの鋳物工場が立ち並び、工業製品や生活用品からベーゴマといったような小さな玩具まで、様々な鋳物製品が作られていました。

そんな鋳物の町は、今はどのような風景へと変化しているんでしょうか。

JR川口駅を出発点とし、繁華街と史跡が残る駅の東側を散策してみました。

光が生み出す無限の芸術

JR川口駅を降りると空は秋晴れ!先週までの季節はずれの蒸し暑さはどこへやら、最高の散策日和となりました。

駅周辺は都市開発がとても進んでおり、大手百貨店やショッピングモールなどがひしめきあっています。平日昼間でも人通りは多く、活気に溢れた街といった様子でした。

川口駅前
ビジネスマンや学生さんの姿が目立つ駅前の広場。

駅前から少し離れると高層マンション群が姿を現し、近代的なベッドタウンといった様相に。都内からも近く、電車によるアクセスも良いことと、1駅隣の赤羽よりもさらに少し物件価格が安いということもあり、住宅街としても人気のようです。

川口駅周辺
たくさんのマンションが並ぶ町並み。商店街も活気があります。

今回は散策の下調べをしていまして、駅前でどこか面白いところはないかなぁと調べておいたのです。

そして見つけたのは「日本万華鏡博物館」。

万華鏡の博物館なんてあるのかー!とちょっと驚きつつ、事前に予約しておきました♪

そこで早速博物館へ。駅から北へ少し歩き、川口市立幸町小学校がある交差点を東へ曲がるとすぐに万華鏡博物館が見つかりました。

日本万華鏡博物館はとても小さな博物館です。街角にひっそりと佇んでおり、一見すると普通の住宅のよう。

表の看板や窓の作りなどがとても可愛らしく、博物館好きの筆者はどんな博物館なんだろうかとワクワクしながら訪問してみました。

日本万華鏡博物館
小学校のすぐ隣にある博物館。子供達の嬌声もかすかに聞こえてきます。

普通の住宅を訪問するように呼び鈴を鳴らすと、出迎えてくださったのはここの館長さん。

どうやら個人で運営されているようで、気さくな笑顔で「どうぞどうぞ♪」と中へ案内してくれました。

博物館の中は、ちょっとした個人のコレクションルームといった様子。

所狭しと並べられた様々な万華鏡は見たこともないようなものばかりで、「これも万華鏡なのかな?」と首をかしげるようなデザインのものも。

この博物館では万華鏡について勉強させてもらえる「見るコース」と、実際に自分で万華鏡を作って楽しめる「作るコース」があり、どちらも基本的には予約制。筆者は見るコースで万華鏡について詳しく教えてもらうことにしました。

様々な国の万華鏡
様々な時代、様々な国の万華鏡が並ぶ館内。

万華鏡の発祥は18世紀のイギリス。エジンバラに生まれたデビッド・ブリュースターという人物によって作られたのが始まりだそうです。

元々は灯台の光をいかに遠くへ届けるかという研究から派生したらしく、以来万華鏡は世界中の人々の心を引き付け、日本にも江戸時代にオランダを通じて入ってきたようです。

館内では館長さん自ら丁寧に万華鏡の歴史やその構造について教えてくださり、なぜ万華鏡が美しい光を生み出すのか、どのような鏡の組み合わせがあるのかなどを実物を使いながら解説して頂きました。

中には立体的な映像を生み出す不思議な万華鏡や、まるで大聖堂の天上に描かれたフレスコ画とステンドグラスの窓を見上げているような万華鏡なども見せて頂き、驚きの連続。

こういった不思議で面白い万華鏡も、ちょっとしたアイデアと工夫によって作られた、実にシンプルな構造だということを知り、光の世界の魅力を少し感じることができました。

宇宙空間に浮かぶ惑星のような万華鏡
まるで宇宙空間に浮かぶ惑星のような万華鏡。平面的ではなく、球体に見える不思議な万華鏡です。

万華鏡のコレクションは2,000点にもおよび、国立科学博物館などでも公開展示をしたことがあるとのこと。

収蔵している万華鏡の中には19世紀の貴重な物も複数あり、その保存のために現在は有料での公開となっているそうで、見るコースでは1,000円、作るコースでは3,000円となっています。

あまりにも美しい万華鏡の世界に筆者も思わずたくさんの写真を撮りたくなってしまいましたが、万華鏡には製作者の方々の著作権などがあるものも多く、限られたものしか撮影できなかったのがとても残念です。

本当にその世界は美しくて魅力溢れるものばかり。館長さんが万華鏡に魅せられた気持ちがとてもよく分かりました。

神社仏閣と川口の歴史巡り

たっぷりと1時間以上もお話を聞き、たくさんの万華鏡を覗かせて頂いて博物館を後にしたのは14時過ぎ。

館長さんから「荒川まではすぐだよ」と教えて頂き、今度は荒川を目指しつつ名所探し。

スマートフォンのマップ片手にぶらぶらと街を歩いていると、遠くにお寺らしき屋根が。

どんなお寺だろうと足を運んでみると「関東八十八ヶ所霊場 第七十六番 宝珠山 錫杖寺」という名称が。

なにやら古いゆかりのありそうなお寺だと思い、ちょっと足を運んでみることに。

錫杖寺
関東の霊場巡りはしたことないですね。

立派な作りをした本堂
立派な作りをした本堂。

調べてみると、この錫杖寺は真言宗智山派のお寺であり、江戸幕府の2代将軍、徳川秀忠が日光参拝のおり、錫杖寺を休憩所と定めて以来これが吉例となり、徳川家と深い関わりを持つことになったそうです。

なるほど、確かに屋根瓦などの一部には葵の御紋が。

住宅地に囲まれた小さなお寺だと思ったら、とても由緒あるところだったのですね。

境内を軽く歩いた後は、再び散策へ。冒頭にも書いたように、ここ川口はかつて鋳物の町として栄えた場所。

何か当時の面影を残すものはないかと街の角々を見渡したりマップの上に目を走らせたりしていると、今度は「文化財センター」の看板を発見。

きっと川口の歴史を知る資料があるに違いないと思い、案内の通りに歩いて向かってみました。

市立の資料館
いかにも市立の資料館といった雰囲気。

文化財センターのこじんまりとした入り口をくぐり、案内にしたがって2階に進んでみると、これまたこじんまりとした空間には古い縄文時代の土器や石器などが。

興味深く眺めていると、どうやら資料館の職員らしき方がやってきて「見学でしたらこちらで受付を」と案内してくれました。

見学料は大人1人100円、子供は1人50円。小さい資料館ながらも体験コーナーなどもあり、意外と充実している雰囲気。

川口も旧石器時代から人が住んでいた土地だったようです。
川口も旧石器時代から人が住んでいた土地だったようです。

館内は2つのコーナーに別れていて、一方は旧石器時代から近世(江戸時代ごろ)までの歴史を振り返れるコーナーで、もう一方が川口の鋳物文化について解説したコーナーです。

鋳物文化を展示したコーナーの中央には懐かしいベーゴマの鋳型や鋳造過程などが展示されており、筆者も子供の頃を思い出しながら展示物や解説を読みふけってしまいました。

ベーゴマ回しは今でも得意ですね♪

子供の頃、バケツに手ぬぐいをかぶせて台を作り、その上でベーゴマを戦わせて友達と遊んだのを思い出しました。

ベーゴマ
鋳型から抜いたばかりのベーゴマと完成品。昭和の代表的な玩具ですね。

ようやく川口らしい資料を見られたことに満足しつつ、遠くに見えてきた土手を目指して再び散策開始。

荒川の土手には河川の氾濫を防ぐために作られた「スーパー堤防」があります。

スーパー堤防とはいわゆる水害を防ぐ「壁」としての堤防ではなく、土地全体をかさ上げして「面」で堤防の決壊を防ぐ構造を持った堤防のことで、その高さに対して30倍程度の広さの堤体幅を持っています。

その広い堤体を活かし、川口市側には小学校や中学校、さらにお寺などが作られており、巨大な河川である荒川の氾濫に備えた作りとなっているのが特徴です。

立ち並ぶ学校の横を通って川沿いに歩いていると、真新しいマンションに囲まれるようにして古い町工場が見えてきました。

近寄って工場の名前を見てみると、どうやら鋳物工場のようです。まだ残っていたんですね。

トタン作りの工場
錆びたトタン作りの工場からは昭和の香りが。

鋳物工場を眺めながら土手を登っていくと、ようやく荒川が見えて来ました。

河川敷には自動車学校などがあり、川原までは降りることができませんでしたが、少し空が曇り始めた中、ゆったりと流れる川を眺めて散策の疲れを少し癒していました。

電車の鉄橋
電車の鉄橋を眺めながら、しばし休憩。

10分ほど体を休めたあと、再び駅方面へ。

マップを確認すると、帰り道に川口神社という名前を見つけました。ひとまずここを目指してみることに。

10分も歩かないうちに神社へ到着。この川口神社は前回散策で訪れた大宮の氷川神社より勧請(かんじょう)した神社で、川口市の総鎮守となっています。

神社の入り口は小さな公園になっており、子供達が公園だけでなく神社の境内なども遊び場にしていました。

川口神社山門
川口神社山門。子供達がかくれんぼや鬼ごっこをして遊んでいました。

大宮の氷川神社のような荘厳な雰囲気は薄く、どちらかというと人々の憩いの場所といった感じの神社で、緑の少ない住宅街にあって唯一大きな木々に囲まれた場所でもあります。

かつては工場町として賑わい、今は郊外の住宅地として人々が集まる川口ですが、そんな時代の移り変わりがあっても、この神社だけは常に変わらずここにあったのでしょう。

これからも川口の街を見守る存在であって欲しいと感じました。

川口神社本殿
川口神社本殿。参拝者も少なくひっそりとしていました。

活気溢れる街・川口

川口神社を最後に、あとは駅前へ戻って今回の散策は終了。駅周辺に着くと再び街の喧騒が聞こえ始め、「今の川口」の姿が戻ってきます。

最初に訪れた日本万華鏡博物館の館長さんが「川口は変わったね。とても若返ったよ。

昔は工場だらけで子供が少なかったけど、今はマンションがたくさん出来て子供や若い人が増えた。隣の小学校は私の母校だが、当時は子供の少ない学校だったのに、今はたくさんの子供がいるね」と話していたのが印象的でした。

確かに川口の駅を降りて最初に感じたのはマンションが多いということと、平日昼間にも関わらず若い人たちの姿が多かったことです。

駅前には大きな商業施設も多く、電車で移動することなく駅前でちょっとした買い物や午後の有閑を楽しむことができます。

外回り営業の息抜きをしているビジネスマンや、小さなお子さんを連れた若い主婦たちの姿などを見ていると、この街の活気を肌で感じます。

散策ルートの関係から西口方面を歩けなかったのが少し残念でしたが、川口という街の今の姿や歴史を知ることができて、なかなか有意義な散策でした。

ゆったり3時間の散策
今回歩いたルート。博物館などでのんびり時間を過ごしつつ、ゆったり3時間の散策でした。

JR川口駅周辺・散策スポット案内

日本万華鏡博物館

世界中から集めた2,000点にもおよぶ万華鏡コレクションを収蔵する博物館。博物館では万華鏡の歴史などを知るだけでなく、実際に万華鏡を作って楽しめる体験コースなどもあります。

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川口市立文化財センター

川口市の歴史や文化を展示している市立博物館。かつて川口の一大産業であった鋳造業についての資料はとても詳しく興味深い。

郷土資料館ホームページ
【郷土資料館】は川口市の歴史と文化を分かりやすく紹介しています。歴史と文化に触れることで、より深く川口について知ることができます。また、文化財に対する理解を深めていただければ幸いです。ぜひ足を運んでみてください。

埼玉県立歴史と民族の博物館

埼玉県の歴史と民族に関する資料を保管、研究する目的で作られた博物館で、古代から現代に至るまでの資料が展示されています。国宝の剣なども収蔵された貴重な博物館です。

トップページ - 埼玉県立歴史と民俗の博物館
埼玉県立歴史と民俗の博物館のホームページです。

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川口市の地域情報

川口市
川口市は、埼玉県の南端に位置する都市です。市は荒川を挟んで東京都と接しており、江戸時代から鋳物や植木などの産業が盛んになりました。その後、住宅都市化が進み、現在は首都東京との隣接による利便性を活かしながら、固有の伝統を持つ「ものづくりのまち」として、活気あるまちづくりと人づくりを目指しています。 Q 川口市の有名人は?...
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