三菱UFJ信託銀行が最新レポートを発表
三菱UFJ信託銀行株式会社が、不動産マーケットリサーチレポートVol.274「収益性指標から見る東京オフィス市場 ~築年数別~」を発行しました。
今回のレポートでは、東京のオフィス市場において「築年数」と「収益性」の関係に焦点を当てた分析が行われており、これからの不動産投資や物件活用を考える上でとても興味深い内容となっています。
築浅オフィスと築古オフィス、収益に差が!
レポートによると、J-REIT(不動産投資信託)におけるオフィスビルの収益性指標は、築5年未満の物件と、それ以外の物件で大きな違いが見られるとのこと。
築年数が浅いオフィスはやはり人気があり、賃料も高く設定できるため、収益性が高くなる傾向があります。一方で、築年数が20年、30年と経っていくと、修繕費や設備の更新費用が増え、収益を圧迫するリスクが出てくると指摘されています。
築30年以上の物件が過半数に
さらに驚きなのが、2024年時点でJ-REITが保有するオフィス物件の半数以上が「築30年以上」という事実。今後、何もしなければ10年後には「築40年以上」が過半数を占める見込みだそうです。
これはJ-REITに限らず、都心の中小規模オフィス市場全体でも同じ傾向が見られ、なんと80%以上の物件が「築20年以上」。今後、どのように築年数の経過に対応するかが大きな課題となっています。
「古い=価値が低い」は変わる?
一方で、レポートでは「築年数による評価の再定義」が起こる可能性にも触れています。
近年では、建物の長寿命化や環境性能の向上も進んでおり、「古いからダメ」とは一概に言えなくなってきました。建物のメンテナンスやリノベーションの工夫次第で、築年数が経っていても収益を維持、または向上させることが可能になっています。
注目の戦略は?
レポートでは、築古物件の収益性を保つためのいくつかのアイディアも紹介されています。
- おしゃれな内装付きで賃料アップが期待できる「セットアップオフィス」の導入
- ホテルへのコンバージョン(用途変更)によって、新たな収益モデルを創出
- 象徴的な物件を区分所有や共有持分で取得し、中長期的な収益に貢献
これらの取り組みは、単なる修繕ではなく、「物件に新しい価値を加える」ことがカギとなりそうです。
まとめ:今後のオフィス戦略に注目
築年数が経った物件が多くなるなか、「どう生かすか」が問われる時代。東京のオフィス市場では、建て替えや新築だけでなく、既存物件のリニューアルや活用方法の工夫がますます重要になってきます。
レポートでは、2035年には「築年数に対する評価の基準そのものが変わる可能性」も示唆されており、長期的な目線での不動産戦略が求められます。
これから不動産投資を考える方、オフィス運用に携わる方にとって必読の内容となっています。